生成AIによる提案書作成支援ツールを開発

新開発案件

AIと人の共同作業でブラッシュアップ、スライド資料は5分で自動生成

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、当社自身の業務プロセス変革とお客さまへの提供価値向上を目指し、研究員が行う当社の顧客向け提案書の作成を支援し、自動で資料を生成するAIツールを開発しました。提案・営業活動の迅速化・ナレッジ共有・人材早期育成効果を見込んで、4月から社内で試験的に利用を開始しています。人間とAIの共同作業により、短時間で提案内容をブラッシュアップし、お客さまの課題に合致する提案を迅速に行うことが可能になります。(PRTIMES)

1. 背景

お客さまの課題を分析し、コンサルティングのアプローチを設計して提案書としてまとめることは当社の主要業務の一つです。相談を受けてから時間を空けず、かつお客さまの課題に対して最適な提案を行うことが求められます。そのためには(1)業務や課題背景の理解・調査 (2)課題の本質の掘り下げ (3)解決策案出、の3点が重要です。

そのプロセスでChatGPT 等、生成AIの技術を活用することには大きなメリットがあります。生成AIは多様なデータから学び、広範囲な知識を有することから、課題理解を深める手助けをし、提案内容のブレインストーミングや見落としの防止に寄与します。このたび、MRIは生成AIの技術と、長年にわたり培ったコンサルティングのノウハウを融合させた、提案書作成支援ツールを開発しました。本ツールの活用により、以下の効果を見込んでいます。

活動迅速化:提案の構想時間と資料の作成時間が削減される

ナレッジ共有:属人化され、かつ整理されず蓄積されていた記録を、ナレッジとして活用できる

人材早期育成:ツールを通してナレッジを活用することで若手でもベテランと同等の提案ができる

2. 本ツールの特徴

生成AIは広範な知識に基づき、課題の深掘りやアイデア出しを高速で行えますが、個々の業界知識や課題への理解の浅さ、生成結果に誤りが含まれるなどが問題となることがあります。このため、本ツールは以下の5つのステップで提案書を作成します。

(1)プロジェクト情報のインプット
  
研究員がAIにお客さまの要望や課題、プロジェクトの方針を入力する。

(2)プロジェクトの目的整理
  
AIがプロジェクトの目的を整理し、研究員が内容を確認して必要に応じて修正する。

(3)アプローチの生成
  
背景と目的に基づき、AIがプロジェクトのアプローチとタスクを生成する。

(4)ブラッシュアップ
  
研究員が生成された内容を確認する。検討が不足している点について(1)から(3)の内容を修正して再生成する。

(5) 資料化
  
生成した結果からAIがスライド資料を自動生成する。

このプロセスでは、AIの生成に任せきりにするのではなく、途中で研究員が内容を確認・修正し、それに基づきAIが再生成する作業を繰り返すことが特徴です。AIは提案書の草稿を作成するサポート役となり、研究員による最終的な提案書作成を支援します。人間とAIの共同作業により、提案内容を短時間でブラッシュアップできる点が強みです。

              
図1 開発したツールと生成した提案書のイメージ

3. 今後の予定

今後は利用者のフィードバックを受けて機能と使いやすさの改善を行います。また、本ツールをベースとして、企画書や営業資料の作成を支援する提案書生成ソリューションとして、社外へのサービス提供も検討しています(特許出願中)。

参考:MRIの生成AIソリューション開発コンセプト「ララサポ」について

「ララサポ」では、生成AIを活用することにより知識・経験に基づくナレッジワークや顧客接点を革新することを目指し、MRI自身の業務改革や連携先企業との協業を通じて技術開発を進めています。

※本ツールの開発は「ララサポ」の一環として行いました。

ChatGPT技術の安全・迅速な導入を支援するトータル・サポート・サービス「ララサポ」

https://www.mri.co.jp/service/large-language-model-support.html

              
図2 匠AI、ララサポと本取り組みの関係